Lost In Translation ロスト・イン・トランスレーション
2015年の仕事納め日、ある中学生のコが来店。
子供の頃から髪を切っているコでしたけど、急に来なくなったりすることがありました。
聞けば入退院を繰り返すほど具合が悪く、今も定期的に治療をしなければならないような病気になってしまったと。
学校もろくに行けない日が続いていたそうです。
何かをできないものかと思っても、
でもボクは髪を切ってあげる事しか出来ません。
でもそのコは無邪気に、髪を切った後に一生懸命スタイリングが、上手くいくコツを聞くんです。
乾かし方とか、スタイリング剤は何をどう付けた方がいいのか、とか。
その時、ああって。思ったんです。
そうなんだよ。ひとってこういうものなんだって。
どんなに疲れていたって、体調が悪くたって、どんな歳のコだって、女子だって男子だってカワイクいたいし、カッコよくなりたい。
前よりもカワイク見られたいし、前よりもカッコよく見られたい。
どんな状況でもそう思うって、ひとだからだし、それは日本が文化的にも豊かだから。
ボクはそのコを切りながら、そんな事を感じました。
そしてそういうオシャレにしたいと思っているのこのコの気持ちがとっても素敵だと。
その時たまたま店内で流れていた曲がnitsuaの「Lost in translation」。
簡単に訳せば、「翻訳をすれば失う言葉の意味もある」そんなとこでしょうか。
でもボクはこの曲、そして言葉の解釈として、「ひとには言葉にすら出来ないような思いや気持ちがある」
もう、こう言葉を使っているだけでもなにか違うような気さえしますが、
あの時その瞬間に「Lost in translation店内に流れててボクらのような仕事はそんなひとの大切な気持ちを感じれる仕事なんだと。
だから思いをこめて髪を切る。
ボクはこのブログのタイトルにそうつけました。それは自分に言い聞かせるような気持ちで。
手仕事だから。
今年を振り返ると苦しく、もがいた1年でした。集中力に欠いた前半、そしてなにか変えたい気持ちでこのブログも立ち上げ、仕事をしていった後半。
生み出せなくてもがき、いろんなひとやいろんな気持ちを感じて、自分をひっぱたいてつくりだす。
ボクは美容師という仕事が好きです。
今年も1年様々なお客様に会えて良かった。また沢山のひとに出会いたいです。
そして沢山のひとの髪を切りたい。
年内最後の仕事で、またそう思わせてくれた仕事がありました。ありがとうございました。
今年1年また皆様に感謝して。来年もよろしくお願い致します。
Lost in Translation。
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